嫁ぎ先は水神様~ただ身を投げただけなのに~
「お願いです。ときを許してあげて。」

「とにかく、決まった事だ。つき。」

そしてときは、村人に連れて行かれてしまった。


その後から、ときの花嫁衣裳が付いていく。

今夜は、ときの。

嫁入り前の最後の夜になるという訳だ。


どうすればいいの?

ときじゃダメだって、分かっているのに!


「つき。悲しいけれど、村の為よ。」

いつの間にか、お母様が横にいた。

「違うの、お母様。」

「えっ?」

「水神様は、ときは受け入れない。私だから受け入れてくれたの。」

お母様は、周りを見回すと、私の腕を掴んだ。

「その話、ちゃんと聞かせてちょうだい。」

私は、コクンと頷いた。


「私が生贄になった時、水神様の屋敷に迎えられたの。」

「水神様の屋敷?」

「湖の底にあるの。そこで、水神様は暮らしていた。私はその屋敷で、水神様の妻になったの。」
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