嫁ぎ先は水神様~ただ身を投げただけなのに~
「確かにほのという生贄がいた。でもそれは、何十年前の話で、つきは会っていないはずだ。」

「うーん。」

お父様は、考え込んでしまった。

「どちらにしても、一旦この件は預かろう。」

「お父様!」

「但しつき。今後一切、生贄に関わるな。」

「それはできない。」

「つき!」

珍しくお父様に大きな声を出された。


「生贄は、私じゃないとダメなの!」

「何を言っているんだ。生きて帰って来れたと言うのに。」

お父様はそう言って、ハッとした。

「……戻されたという事は、生贄には向いていないと言う事だ。」

「戻されたのは、私が帰りたいと言ったからよ。」

村人は私を見て、頭がおかしくなったのではと、ヒソヒソ話。

「とにかく。生贄の件については、一旦白紙に戻す。」

神主さんと村人は、シーンとなった。
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