嫁ぎ先は水神様~ただ身を投げただけなのに~
「るか様、大好き。」

「やれやれ。そう言われると、仕方ない。」

るか様は水神様なのに、困る事もあるんだ。


「るか様でも、困る事はあるのね。」

「当たり前だ。好いた女を妻に頂くよう、両親に承諾を得るなど、今までない事だ。」

私は、増々嬉しくなった。

「今までは、承諾を得ていなかったんですか。」

「生贄になった時点で、承諾は得ているようなモノだからな。」

「それが今度は、妻に欲しいと、私の両親に言う訳ですね。」

「そうだ。」

ニヤニヤが止まらない。

夢枕に立つって言っていたけれど、その場面は私は見る事ができないのだろうか。


「私にも見せて下さい。その夢。」

「駄目だ。」

「どうしてですか。」

「我が頭を下げるところなど、そなたに見せたくない。」

困っている。

るか様が、困っている。

とても可笑しい。
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