嫁ぎ先は水神様~ただ身を投げただけなのに~
「るか様!」

「これまた一段と機嫌が悪いな。」

今度は、振り向いてもくれない。

「今日は、どんな話だ。」

私は、るか様の前に立った。

「この前の洪水から、雨が降っていないと言うじゃないですか!どうして!?どうして、そんなに村人を苦しめるの!?」

「我が村人を苦しめているのではない。天候まで我は、操れない。」

「この前は、あの上の石をどかせて、雨が降ったじゃないですか!」

私は、この前動かした石を指さした。

「あれは、神の石だ。雨が降る時は、勝手に動く。我々の感情で、動かす石ではないのだ。」

私は指さした腕を引き、グッと手を握った。

「どうしても、雨は降らせないって言うの?」

「降らせないのではない、そんな力はないと言っているのだ。」

「じゃあ、何の為の水神よ。」

私とるか様は、睨み合った。

「何の為に、村の人々はこの神殿に、お供え物をしているのよ!雨を降らせて、干ばつを直す為でしょう!」

「……すまぬ。」

あっさりと謝ったるか様に、もっと腹が立った。

「もういい!私を元の世界に戻してくれるなら、許してあげる!」

するとるか様は、静かに目を閉じた。
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