囚われて、逃げられない
「バッ…バカ…!?
いくらなんでも、それは酷い……」
「光永 泰氏のじぃちゃん、スゲーヤバい男なんだぞ!」
「え?おじいさん?」
「影のドンって言われた、最低・最悪の悪人なんだ。
だから、その愛孫の泰氏は何をやっても許されるんだ。たぶん…邪魔な社員も奴が消してるはず……」

「そんな…恐ろしいこと言わないで……?」
そう言って、出ていく野々花。

確かに泰氏と初めて行ったレストランのオーナーも、泰氏の祖父の存在にかなりビビっていた。
「まさか、泰氏くんがそんな恐ろしいこと……」
野々花は、廊下の角でしゃがみこんだ。

「野々花!」
そこへ東生が駆けつけてきた。
「一人にして!」
「ごめん!野々花が心配で……」
「ありがとう!確かに泰氏くんは、ちょっと愛情が重い人だけど、分かってて恋人になりたいって私が申し込んだの。だから、心配しないで?」
「だろうな……言ってたもんな?憧れている人がいるって!それが光永なんだろ?」
「うん」
「もしさ。
もし、耐えきれなくなったら、俺を頼って?
その時は力になるから!」
「うん、ありがとう」

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「野々!」
「泰氏くん、おかえりなさい」
野々花が微笑み言うと、泰氏に力強く抱き締められた。
「ただいま。んー寂しくて、ほんとに死にそうだった。野々の匂いだぁ」
「泰氏くん、苦しいよ…みんなの前で恥ずかしいし……」
「ごめんね…もう少しだけ……
今、充電中だから…!」

「フフ…私、泰氏くんの電気になれてる?」
「もちろん!
…………でも…まだ足りない…」
「え……」
「キスしたい。そしたら、もっと元気になれるよ?」

「………でも…さすがに、ここでは…」
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