囚われて、逃げられない
「意味、わかってないよね?」
「へ?」
「好きってのは“LIKE”じゃなくて“LOVE”のこと」
「えー!?」

「触れたい、キスしたい、抱きたいっていう好きってことだよ!」

「……////
な、な、な、なんで……!?
私なんかを……?」
「高2の時に一緒のクラスになって、好きになったんだよ?
ほんとはね、卒業式の時に告白したかったんだけど、家庭の事情で引っ越さなきゃいけなくて、野々の傍にいられないから、あんな言い方したんだよ。
とにかく、好意だけでも示したくて」
「高校二年生の時?」
「うん、助けてくれたでしょ?」
「え?あ、あれは……ほっておけなかったから…」
「でも、俺は凄く嬉しかった」

泰氏はその美しさから、女子には人気者だが男子からは妬みや嫉妬で嫌がらせが多かった。
教科書を破られていたり、上靴や、用具がなくなることは日常茶飯事で、今考えれば子供じみた虐めがかなり酷かったのだ。
先輩からも袋叩きにあって、怪我することも多かった。
でも誰も助ける人がいなかったのだ。
女子達も虐めの対象が移ることを恐れて、助けることがない中、野々花だけは気にかけていた。
もちろんみんなの前で堂々と助けるなんて怖くてできなかったが、陰で助けたりしていた。

「でも、私…やめなよって言えなかった。
陰からしか、手を差しのべることできなかった……」
「いいんだよ。それだけでも、俺にとっては女神みたいだったんだから」
「光永くん…ありがとう!そんな風に言ってもらえて嬉しいな!」

「俺のことも、泰氏って呼んで?」
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