Your PrincessⅡ
「きゃあっ」
 と悲鳴を上げたが、身体に痛みが走ることはなかった。
 がっちりと誰かに抱きしめられ。
 ゴロゴロと身体が回転し、滑り落ちた後に、止まった。
 目が回ると思いながらも、起き上がると。
 自分の身体の下敷きになっている人物を見て、「ぎゃー」と悲鳴をあげた。
 黒っぽいイージーパンツに白いシャツを着たゴリゴリのマッチョは、私に下敷きにされながらも、びくともしない様子だった。
「シュロさん、大丈夫ですか?」
 声をかけると、シュロさんは「世界が回りました」と言い出したので。
 どこか、頭でも打ったのではないかと心配になる。

 シュロさんと私は起き上がって辺りを見回した。
 暗くて何も見えない。

「おいっ、カレン。カレンー」

 蘭の声がしたので、「こっちですー」と叫んだ。
 暫くすると、上空から「大丈夫かあ」と声が降ってきた。
 灯りがあるところを見て、ショックを受ける。
 …落ちたんだ。
 あんな高いところから。

「おいっ。落ちたのか?」
「うん、大丈夫。シュロさんといる」
 精一杯の大声を出す。

「シュロといるなら、大丈夫だな」
 蘭は大声を出して言った。
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