Your PrincessⅡ
 そんな作り話、誰が信じるというのですか?
 と、口に出しそうにはなったけど。
 幾つか思い当たる節はあったのだと思う。
 蘭がずっと命を狙われていたのは、王族だから…
 蘭の本名を知らなかったのは、彼が王様の子供だから…

「カレン。それで、ショックを受けてちゃ駄目だろ」
「受けるに決まってるでしょう!」
 お兄様を睨みつける。
「ローズと蘭は次期国王とその弟。では、僕とカレンは何者でしょう?」
「何って、私は蘭の妻だから、王族になるんでしょう…」
 自分で言って、なんて恐ろしい人と結婚してしまったのだろうと思った。
 皆、騙していたんだ。
 私だけ、蘭の正体を知らなかった。

 ズキズキと頭が痛くなってくる。
 夢であれ。
 と、自分に言い聞かせる。

「カレンは女神の生まれ変わりなんだ」

 お兄様の言葉に、
 後ろに縛り付けられている蘭とローズさんが「えっ」と声を漏らす。

「そして、僕は女神の使いと言ったところかな」
 へへへっと笑うお兄様を見て。
 だんだんムカムカしてきた。
 手を拳にする。
「お兄様はそんなヘラヘラ笑ったりしません」
 フラフラしながら立ち上がる。
「こんの、嘘つき!」
< 199 / 228 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop