Your PrincessⅡ
お兄様と思われる人物の肩を叩いた。
手を拳にして、ボコボコと叩く。
「あのね、カレン。生まれ変わりといっても、君は普通の女の子と変わりないんだから」
「わかんない、わかんない、何言ってるのかわかんない」
手を止めると涙がこぼれてきた。
こんな結末、誰も信じない。
「少しだけ、黙って僕の話を聞いてくれるかな? じゃないと、カレンも柱に括り付けなきゃいけなくなる」
私はその場に座り込んだ。
「今から300年前、初代国王となる男が女神と契約を交わしたんだ」
お兄様は再び椅子に座った。
「争いの絶えない世の中から終止符を打つために、初代国王は平和な国を望んだ。そうしたら女神は、その願いを叶えるために善と悪を用意しろと言ったんだ」
もう、勝手に話せばいい。
投げやりな気持ちで、話を聞く。
「カレン、知ってる? 世界では今でも戦争が起きていることを」
「・・・・・・」
「この国はいつまでも、平和で穏やかだろう? それは、女神と契約を交わしたからだ。女神は、王族から善人と悪人を用意しろと要求してきた。そして、女神は、彼らを見守るために普通の人間の女性として何度も生まれ変わることにした。それが、君なワケ」
「……私のどこが?」
「君の痣。何で、生まれつきあるか知ってる?」
目の前に立っているお兄様そっくりな男は得意気に話す。
「女神はね。清い身体じゃなきゃ駄目だからさ」
だから…と言うと、お兄様は立ち上がると蘭のほうへ歩いていく。
「呪いの方も調整しておいたってこと」
さっきから、何をわけわかんないことばかり言っているんだろう…
「なあ、アズマ。どうして、俺が善人なんだ」
黙っていた蘭が話し出す。
「俺が悪人という可能性だってあったわけだろ?」
「うーん。それは、ローズのお母さんが決めたことだからね」
ローズさんのお母さん?
ローズを見ると、「ふざけんなっ」と叫んだ。
「おまえが俺の母親を殺したんだろ」
「あらら。勘違いも甚だしいね。君のお母さんを殺したのは、国王でしょ? 君のお父さんでしょう?」
お兄様は、ローズさんに向かって、あっかんべーをした。
ローズさんは、蘭の青白い顔とは対照的に顔を真っ赤にして「死ね!」と吐き捨てる。
「だから、僕は不死身だって言ってるでしょ。父親に訊いてごらんよ。って、そうか。もう死んじゃったんだもんね」
「は?」
お兄様らしき男の言っていることは滅茶苦茶だったが、
現国王が死んだなんて初耳だ。
そもそも、ローズさんのお母さんも亡くなっているということは…
(どういうこと…)
胸のムカムカは、心臓のバクバクへと変わっていく。
「あらら、カレン。船に乗っているわけじゃないのに顔色が悪いね」
「…何で、船酔いのこと知ってるの?」
お兄様らしき男を精一杯、睨みつけたが。
男は、にっこりと笑った。
「神殿は一切の隠し事なしだからね。次期国王の記憶が混濁しているようだから、僕が事実を教えてあげよう」
さっきから、嘘臭い笑顔を浮かべている男を、じっと眺めることしか出来なかった。
手を拳にして、ボコボコと叩く。
「あのね、カレン。生まれ変わりといっても、君は普通の女の子と変わりないんだから」
「わかんない、わかんない、何言ってるのかわかんない」
手を止めると涙がこぼれてきた。
こんな結末、誰も信じない。
「少しだけ、黙って僕の話を聞いてくれるかな? じゃないと、カレンも柱に括り付けなきゃいけなくなる」
私はその場に座り込んだ。
「今から300年前、初代国王となる男が女神と契約を交わしたんだ」
お兄様は再び椅子に座った。
「争いの絶えない世の中から終止符を打つために、初代国王は平和な国を望んだ。そうしたら女神は、その願いを叶えるために善と悪を用意しろと言ったんだ」
もう、勝手に話せばいい。
投げやりな気持ちで、話を聞く。
「カレン、知ってる? 世界では今でも戦争が起きていることを」
「・・・・・・」
「この国はいつまでも、平和で穏やかだろう? それは、女神と契約を交わしたからだ。女神は、王族から善人と悪人を用意しろと要求してきた。そして、女神は、彼らを見守るために普通の人間の女性として何度も生まれ変わることにした。それが、君なワケ」
「……私のどこが?」
「君の痣。何で、生まれつきあるか知ってる?」
目の前に立っているお兄様そっくりな男は得意気に話す。
「女神はね。清い身体じゃなきゃ駄目だからさ」
だから…と言うと、お兄様は立ち上がると蘭のほうへ歩いていく。
「呪いの方も調整しておいたってこと」
さっきから、何をわけわかんないことばかり言っているんだろう…
「なあ、アズマ。どうして、俺が善人なんだ」
黙っていた蘭が話し出す。
「俺が悪人という可能性だってあったわけだろ?」
「うーん。それは、ローズのお母さんが決めたことだからね」
ローズさんのお母さん?
ローズを見ると、「ふざけんなっ」と叫んだ。
「おまえが俺の母親を殺したんだろ」
「あらら。勘違いも甚だしいね。君のお母さんを殺したのは、国王でしょ? 君のお父さんでしょう?」
お兄様は、ローズさんに向かって、あっかんべーをした。
ローズさんは、蘭の青白い顔とは対照的に顔を真っ赤にして「死ね!」と吐き捨てる。
「だから、僕は不死身だって言ってるでしょ。父親に訊いてごらんよ。って、そうか。もう死んじゃったんだもんね」
「は?」
お兄様らしき男の言っていることは滅茶苦茶だったが、
現国王が死んだなんて初耳だ。
そもそも、ローズさんのお母さんも亡くなっているということは…
(どういうこと…)
胸のムカムカは、心臓のバクバクへと変わっていく。
「あらら、カレン。船に乗っているわけじゃないのに顔色が悪いね」
「…何で、船酔いのこと知ってるの?」
お兄様らしき男を精一杯、睨みつけたが。
男は、にっこりと笑った。
「神殿は一切の隠し事なしだからね。次期国王の記憶が混濁しているようだから、僕が事実を教えてあげよう」
さっきから、嘘臭い笑顔を浮かべている男を、じっと眺めることしか出来なかった。