Your PrincessⅡ
 他人と深く関わるな。
 感情を捨てろ。
 言われた通りに動けばいい。

 何度も、怒られて注意を受けた言葉だ。
 だから、ローズはすぐにシュロの前から逃げ出した。
 でも、何故かシュロには惹きつけられるものがあった。
 自分を「天使」と言う頭のおかしい奴だった。

 他人と深く関わるなと言われていたはずなのに。
 気づけば、シュロのところへローズは向かっていた。
 人生で初めて心を許せる人だと思った。
 シュロは不思議な男だった。
 一緒にいると、癒される変な奴だった。

 何故、こんなにもシュロに惹きつけられるのか。
 ローズがその理由を知ったのは、選ばれし者の中にシュロがいたことだった。

 ある日、国王がローズに「紹介したい人物がいる」と言い出した。
 普段は、騎士団の制服か戦闘用の黒い服を着ているのだが、その日ばかりは正装せよと言われ、ローズは王子様らしい服を着せられた。
 国王の真横にローズは立っていると、
 最初、目の前に現れたのは綺麗な顔立ちをした少年だった。
「ローズ、彼がおまえの弟の蘭だ」
 ローズはじっと、蘭の顔を眺めた。
 何度も夢に登場する少女の姿と面影が似ていた。
「ふうん」と興味なさげにローズが言っていると。
 次に、選ばれし者と呼ばれる4人が現れた。
 …その中に、シュロがいたのだ。
 顔には出さなかったが、ローズはシュロの姿を見てショックを受けた。
 こっち側の人間になる器じゃないのに・・・
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