Your PrincessⅡ
クリスが男の身体になってから、
頻繁に、ある夢を見るようになった。
そこは、花畑だった。
美しい色とりどりの花が沢山、咲いている。
そこで、自分と同い年くらいの少女と遊ぶという夢だった。
少女は、あまりにも美しく、笑った姿が可愛かった。
「可愛い女の子」と言うのは、この子のことを言うのだとクリスは考えた。
母が自分のことを「可愛い」と言うのは嘘だと思った。
目の前で笑う女の子こそ、可愛いにふさわしい人間だと思う。
母が、この子を見たらなんて言うだろうかと考える。
引っ越してからは、毎日、花畑で見知らぬ女の子と遊ぶ夢を見るようになった。
一体、あの子は誰なんだろう。
そう思いながら毎日を過ごしていた。
だが、その女の子そっくりの子が目の前に現れた瞬間、
クリスは「うわあ」と声をあげてしまった。
その日は、パグ犬のプリンと散歩をしていた。
プリンが急にどこかへ走っていくので「どこへ行くんだよお」とクリスが叫んだ。
プリンは、少女の前に立ち止まっている。
少女は、プリンを「よしよし」と言って撫でた。
クリスは誰だろうと思った。
年の近い子はここら辺にはいないはずだ。
「君の犬?」
その少女と目が合った瞬間、クリスは「うわあ」と悲鳴をあげた。
切れ長の目だった。
茶色い瞳に。
ミディアムショートで、サラサラの茶色い髪の毛。
夢の中の少女は肩までの長さの髪の毛だったが、目の前の少女の髪は短い。
だが、それ以外は夢で見た通りの少女だった。
「急に、人の顔を見て悲鳴あげるって失礼じゃない?」
むっと怒った表情で少女が言った。
だが、クリスは驚きすぎて、暫く口をパクパクさせる。
プリンが気を利かせたのかは、わからないが、
ワンワンッと二回吠えた。
落ち着けよっと言っているように聞こえた。
「ごめん。ここら辺に子供がいるとは思わなかったから」
「ぷっ。君も子供でしょ?」
怒ったと思えば、すぐに少女は笑顔になる。
「君、ここに住んでいるの?」
いつだったか、祖父が説明してくれたアームストロング家の屋敷が近くにある。
「うん。昨日、引っ越してきたんだ」
「そうなんだ。君の名前はなんていうの?」
特に意味もなくフランクに質問したはずなのに、
少女は、えっと驚いた後、表情を曇らせた。
「…クリストファー・アームストロング」
「え?」
少女が、もごもごとした声で言うので、クリスは聞き返した。
「クリストファー・アームストロング」
「え、ごめん。もう一度言って」
クリスは聞き間違いかと思い、もう一度質問する。
「だから、クリストファー・アームストロング」
クリスは固まった。
「クリストファーって男みたいな名前だね」
「そりゃ、男だもん」
唇を尖らせて、クリストファーが言うので。
クリスは「きゃっ」と悲鳴をあげた。
冷静になって見ると、女の子のような顔立ちをしているが。
服装は男の子の格好だ。
初めっから黒いズボンを履いているのに。
クリスは今になって、クリストファーがズボンを履いていることに気づいた。
「君は、何て言う名前なの?」
クリストファーに睨まれて、
クリスは、うっと言葉を詰まらせる。
何も浮かんでこない。
「君の名前だよ。ゴディファー家の人間だろ?」
クリスは、うぅぅと呻いた後、観念したように答える。
「…セレーナ・ゴディファー」
頻繁に、ある夢を見るようになった。
そこは、花畑だった。
美しい色とりどりの花が沢山、咲いている。
そこで、自分と同い年くらいの少女と遊ぶという夢だった。
少女は、あまりにも美しく、笑った姿が可愛かった。
「可愛い女の子」と言うのは、この子のことを言うのだとクリスは考えた。
母が自分のことを「可愛い」と言うのは嘘だと思った。
目の前で笑う女の子こそ、可愛いにふさわしい人間だと思う。
母が、この子を見たらなんて言うだろうかと考える。
引っ越してからは、毎日、花畑で見知らぬ女の子と遊ぶ夢を見るようになった。
一体、あの子は誰なんだろう。
そう思いながら毎日を過ごしていた。
だが、その女の子そっくりの子が目の前に現れた瞬間、
クリスは「うわあ」と声をあげてしまった。
その日は、パグ犬のプリンと散歩をしていた。
プリンが急にどこかへ走っていくので「どこへ行くんだよお」とクリスが叫んだ。
プリンは、少女の前に立ち止まっている。
少女は、プリンを「よしよし」と言って撫でた。
クリスは誰だろうと思った。
年の近い子はここら辺にはいないはずだ。
「君の犬?」
その少女と目が合った瞬間、クリスは「うわあ」と悲鳴をあげた。
切れ長の目だった。
茶色い瞳に。
ミディアムショートで、サラサラの茶色い髪の毛。
夢の中の少女は肩までの長さの髪の毛だったが、目の前の少女の髪は短い。
だが、それ以外は夢で見た通りの少女だった。
「急に、人の顔を見て悲鳴あげるって失礼じゃない?」
むっと怒った表情で少女が言った。
だが、クリスは驚きすぎて、暫く口をパクパクさせる。
プリンが気を利かせたのかは、わからないが、
ワンワンッと二回吠えた。
落ち着けよっと言っているように聞こえた。
「ごめん。ここら辺に子供がいるとは思わなかったから」
「ぷっ。君も子供でしょ?」
怒ったと思えば、すぐに少女は笑顔になる。
「君、ここに住んでいるの?」
いつだったか、祖父が説明してくれたアームストロング家の屋敷が近くにある。
「うん。昨日、引っ越してきたんだ」
「そうなんだ。君の名前はなんていうの?」
特に意味もなくフランクに質問したはずなのに、
少女は、えっと驚いた後、表情を曇らせた。
「…クリストファー・アームストロング」
「え?」
少女が、もごもごとした声で言うので、クリスは聞き返した。
「クリストファー・アームストロング」
「え、ごめん。もう一度言って」
クリスは聞き間違いかと思い、もう一度質問する。
「だから、クリストファー・アームストロング」
クリスは固まった。
「クリストファーって男みたいな名前だね」
「そりゃ、男だもん」
唇を尖らせて、クリストファーが言うので。
クリスは「きゃっ」と悲鳴をあげた。
冷静になって見ると、女の子のような顔立ちをしているが。
服装は男の子の格好だ。
初めっから黒いズボンを履いているのに。
クリスは今になって、クリストファーがズボンを履いていることに気づいた。
「君は、何て言う名前なの?」
クリストファーに睨まれて、
クリスは、うっと言葉を詰まらせる。
何も浮かんでこない。
「君の名前だよ。ゴディファー家の人間だろ?」
クリスは、うぅぅと呻いた後、観念したように答える。
「…セレーナ・ゴディファー」