愛を知らない操り人形と、嘘つきな神様
グーグルのアプリを起動し、自殺スポットと検索をかける。
一番上にある『自殺の名所』という記事をクリックしてみると、福井や和歌山にある崖や、人気の少ない林など、様々な場所が書かれていた。
崖か。
確かにそれなら死ねそうだよなぁ。
いや、こんなに怪我をしてると、万が一飛び降り防止の柵があった場合それを飛び越えられないし、難しいか。それなら深夜とか早朝の比較的人が少ない時間帯に海に行って、身投げでもしてみるか? それが一番いいかもしれないなぁ。
試しに乗り換えのアプリで江の島までの交通費を調べてみると、片道千円程だった。そんなに金掛からないんだな。
でも江の島って観光地だから人多いし、自殺しに行ったら誰かに止められるんじゃないか? じゃあダメだな。
そもそも海自体人が多いだろうし、止められないようにするためには、海でない方がいいかもなぁ。
いやでも、この怪我じゃせいぜい飛び降り防止の柵がないビルの屋上か海くらいしか良さそうな場所ないし、それに屋上だったら、入り口のシャッターが閉まってたら、建物の中に入れないから、海がいいよな。
何かないか……。
朝の六時とか、比較的人が寝てる時間に海に着く方法……。
「あ」
タクシーでいけばいいんじゃないか?
俺は近くのコンビニで足を止めると、コンビニの壁に寄りかかって、スマフォでタクシーを呼んだ。高校生というと補導されかねないから、社会人だと嘘をついて。
コンビニのイートインスペースに座って待っていると、十五分くらいでタクシーはついた。
……あれに乗ったら、もう後戻りできないな。
「ふー」
俺は深呼吸をしてから、コンビニを出て駐車場に行った。
タクシーの運転席の窓を軽く叩いて電話したものだと示すと、運転手は眉間に皺を寄せて俺の顔をのぞき込んだ。