愛を知らない操り人形と、嘘つきな神様
翌日。
俺はスマフォの通知音を聞いて、目を覚ました。
枕元にあったスマフォを起動すると、母さんからラインが来ていた。
『海里の鞄とか服送るから、零次くんの家の住所教えてくれない?』
どうやら、必要なものを送ってくれるらしい。気が利いている。
「おはよう、海里」
ベッドの隣にある寝袋で寝ていた零次が起きて、俺に声をかけてくる。
「あ、零次。おはよう」
俺はラインの返信をうちながら、挨拶を返した。
「何見てんだ?」
「ん、これ、母さんのライン。服と鞄送ってくれるって」
「ちぇ。あーあ。今日買い物行く必要なくなったなー。つまんねぇの」
零次はわざとらしいくらい残念そうにしょぼくれた。
「……零次、俺、零次とソファに並んで座ってゲームしたりテレビ見たりしたい。ソファ、今日届くんだろ?」
「ああ、じゃ、今日は家で思いっきり遊ぶか!」
「うん!」
俺は笑って頷いた。
数時間後。
「ありがとうございましたー」
俺達は配達員の人に声を揃えて礼を言ってから、届いたソファをテーブルの前に置いた。
「さて、海里、何のゲームする?」
そう言うと、零次はベッドの下から、紫色の箱を取り出した。
箱の中には、赤と青の色をした両サイドをコントローラーにして通信をすることができるスイッチと、スイッチドックと、スイッチをテレビにつなげるコードと、十個くらいのスイッチのソフトケースが入っていた。
ソフトはどうぶつの森、大乱闘、ピクミン、ポケモン、マリオパーティなど、横道なものばかりだ。
「んー、大乱闘」
「本当にそれでいいのか? 俺、キャラ全部解放してるし、結構強いけど」
零次がにやにやと笑う。えらく得意げだ。どうやら、相当自信があるらしい。
「いい。でも、二人でじゃなくて、コンピューターもいるのがいい」
「おっけー。手加減はしないからな?」
「うん。しなくていい」
俺がそう言うと、零次はスイッチをテレビにつなげて、大画面で大乱闘ができるようにしてくれた。
「海里、ただ戦うだけじゃつまんねぇし、何かかけようぜ」
「え。何かけんの?」
「負けたら、俺とピザ半分ずつ食おうぜ」
丸いのを半分ずつか。俺を太らせるのが目的か?
「勝ったら?」
「俺が多めにピザ食うよ。海里は食べられる分だけ食えばいい」
「アハハ! 俺が勝っても負けてもピザ頼むのか? 意地でも食わせる気かよ!」
俺は声を上げて笑った。
「うっせ。いいからやるぞ」
「わかった」
俺は歯を出して笑って頷いた。
「はい、これコントローラー」
零次が青くて細長いコントローラを俺に差し出す。
「ありがと」
俺は笑ってそれを受け取った。