愛を知らない操り人形と、嘘つきな神様

「ん。生き返りは海里初心者だから、無制限でいいとして、対戦時間はとりあえず一分半でいい? あんま長くない方がいいだろ?」
 零次が対戦形式を四人で戦うのに設定してから、俺に声をかけてくる。

「うん、それでいい」
 俺はコントローラーを触りながら言った。

「オッケー。じゃ、海里キャラ選んで」
 阿古羅が対戦の設定をいじって、キャラクターを選ぶとことまで画面を進めてから俺に声をかけてくる。
「うん」
「最初はキャラクターの使い方教えてやるから、二対二でコンピー倒そう。二人残ったら決勝戦になるから。決勝になるまでは、海里のキャラが死にそうになったら、できるだけ俺が守るから」
「わかった、ありがとう」

「ん」
『レデイ、ゴー!』
 キャラクターとステージを選ぶと、機械音が響いて、対戦が始まった。

 俺は対戦が終わると、コントローラーをぎゅっと握りしめた。
 悔しい。零次が強すぎて、歯も立たなかった。

「海里、お前弱すぎなんだよ」
 零次が笑いながら言う。

「うっさい! やるの初めてなんだからしょうがないだろ! むしろ、零次が強すぎなんだよ!」
 俺は零次を睨みつけて、投げやりに言い返した。

「アハハ! まぁ、それもそうか。俺はゲーム好きの女とかとよくやってたからな」
「ふーん」
 ゲームができる環境にいたのが羨ましいと思ったけど、口に出さなかった。

「海里、ピザ何頼む? 一枚で四種類食えんのとかにするか?」
 零次はテーブルの上にあったスマフォを拾い上げると、ピザの店を検索して、店のHPに搭載されているメニューを俺に見せた。
「え? そんなのあんの?」
「ああ。このクワトロってやつ」
 零次のスマフォには、本当に四種類の味を楽しめるピザが表示されていた。味はカルビとシーフードとBBQとマルゲリータだ。
「それにする!」
「了解! ちゃんと半分食えよ?」
 元気よく返事をした俺を見て笑いながら、零次はピザを注文する。
 ピザは三十分くらいで届いた。
 俺と零次は会計を済ませると、すぐにピザの入った箱をテーブルの中央に置いて、飲み物と皿を箱の周りに置いた。

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