愛を知らない操り人形と、嘘つきな神様
四章 神様が消えて、人形は再び絶望の淵に立たされた。
遊園地で遊んだ日の翌日。
起きたら、部屋から零次がいなくなっていた。
ラインも無料通話も応じてくれなくて。近所の人とかに聞いても目撃情報はなくて。
もしかして先に学校に行ったのかと思って零次のクラスに行ってみたら、同級生にまだ来てないよって言われた。
――俺の親友は、突然消えた。
何も言わないで。
――なんで? どうして?
いなくなる原因は見当もつかなかった。
喧嘩をして怒って出てったとかならまだわかるが、俺達はそもそも喧嘩をしていない。
言い合いとかをふざけてするようなことはあったけど、喧嘩はしていないハズなんだ。
じゃあなんでいなくなった? 何で零次は、何も言わないで消えたんだ……?
訳が分からなくて、俺は混乱した。
混乱しすぎて、俺はその日、授業の内容が全く頭に入らなかった。
その日の放課後、俺は担任の先生に呼び出され、未納だった学費が振り込まれたから、退学はナシになったといわれた。
どうやら、母さんがなんとかして金を稼いで、学費を振り込んでくれたらしい。
だが、今はそんなことどうでもいい。
学費が振り込まれたのは嬉しい。退学が取り消されたのは凄く嬉しいが、今はそんなことより零次だ。
――アイツは一体どこに行った?
俺はとりあえず二人で今まで遊んだことがあるところを手当たり次第回って、零次を探した。
二人で一緒に行ったゲーセン、水族館、ホームセンターなど、とにかく思いつく限りのところを回って、零次を探した。
だが三時間以上探し回っても見つからなくて、零次の実家を知ってる奴に帰ってないか聞いてみても、いなかったと言われた。
「あーもう! 一体どこにいんだよ!」
見つからないのが嫌になって、俺はそばにあった鉄柱を思いっきり蹴った。
こんなことをしたって、ただ足が痛くなるだけなのに。
――まさか、もう会えないのか?
余りに見つからなすぎて、ふとそんな最悪の想像が俺の頭を過った。
俺のことを頼んでもないのに勝手に父さんから助けて、自殺を防いで、母親とも和解させようとして。
そんな風に人の人生を勝手にいい方向に変えて、なにもいわずにいなくなるのか?
何だそのヒーローみたいなやり方!!
ふざけんなよ!!
「まじでどこにいんだよ……」
涙が零れる。
――なんで。なんでなんで!!
俺、アイツに嫌な事でもしたのか?
そんな心当たりは、全然なかった。
たぶんあいつも、楽しんでたハズなんだ。俺といるのを。だっていつも笑ってたし。
時折悲しそうな顔はしてたけど、でもそれは親のことを考えて悲しんでただけで。俺といるのが辛いとか、そういうことは思ってなかったハズなんだ。
じゃあ、なんでいなくなったんだよ……。