エリート脳外科医ドクターは痺れるほどの愛を注ぎ込みたい。 〜セフレですが、両想いです。〜
私はベッドから彼の顔を見ずに立ち上がる。
『ま、待って!』
呼び止める声に振り返らず、彼のマンションから出た。
『ごめん……蓮』
だけど追いかけて来ない彼の答えが私が思っていたのと合っていたんだと感じ振り返ることもせずに家に帰った。
「あっちも、終わらせたかったと思うから」
「……そっか。奈々がいいならいいんだけど」
美波がいう先生とは、同じ病院で働く脳外科医の山崎 蓮だ。
「奈々は好きだったんじゃないの? 先生のこと」
「……うん。好きだったよ」
「じゃあ、なんで別れたの?」
「蓮……山崎先生は遊びだったんだよ、ずっと。身体を重ねても好きになってくれなきゃ辛いだけだから」
蓮と私は、昨日までセフレとして付き合っていた。
あの日に関係を終わらせたばかり。私はずっと蓮に片想いをしていた。
身体だけの関係でもそばにいられれば良かった。
それに、身体を重ねている時は『好きだ』『愛してる』って言ってくれるから幸せも感じていたから。
「そっかぁ」
アイスティーを飲みながら小倉バタートーストを頬張り、お腹を満たす。
「奈々、大丈夫?」
「うん……大丈夫。美波ちゃんありがとう」
その後はいろいろ話をしてからマンションに帰った。