わたしが最愛の薔薇になるまで
会話の糸口がつかめた葉室は、声高に話し始めた。
実業家としての経験談は、脇で聞いていても面白かった。
政治学を学んでいる蕾は、輸入における関税自主権について葉室と熱く議論を交わし、薬学を研究している咲は、未熟な薔薇の種子に含まれる成分が人の胃液と混合すると青酸を生成するという話が気に入ったようだ。
私は、ほっと安堵する。
双子が葉室と相性が悪ければ、再婚に踏み切れないところだった。
「楽しい時間でした。今日は来てくれてありがとう、二人とも」
食事会を終えて立ち上がった葉室は、玄関につけた馬車まで私たちを送り届けてくれた。途中、ホテルの支配人が駆けつけてきたので挨拶をする。
その間に、双子は客車に乗っていた。
挨拶を終えた私が続こうとしたとき、葉室に腕を引かれた。
「垣之内さん……いえ、薔子さん」
実業家としての経験談は、脇で聞いていても面白かった。
政治学を学んでいる蕾は、輸入における関税自主権について葉室と熱く議論を交わし、薬学を研究している咲は、未熟な薔薇の種子に含まれる成分が人の胃液と混合すると青酸を生成するという話が気に入ったようだ。
私は、ほっと安堵する。
双子が葉室と相性が悪ければ、再婚に踏み切れないところだった。
「楽しい時間でした。今日は来てくれてありがとう、二人とも」
食事会を終えて立ち上がった葉室は、玄関につけた馬車まで私たちを送り届けてくれた。途中、ホテルの支配人が駆けつけてきたので挨拶をする。
その間に、双子は客車に乗っていた。
挨拶を終えた私が続こうとしたとき、葉室に腕を引かれた。
「垣之内さん……いえ、薔子さん」