わたしが最愛の薔薇になるまで
 ――双子は、女学生二人を連れて、裏通りの純喫茶に入った。

 慣れた様子でコーヒーを注文した女学生たちは、裕福な家の娘だが浪費癖があり、小金欲しさに繁華街のカフェーで働いている。
 二人が実際に行ってみたら、単なる女性給仕ではなく、男性客と同席して体を触らせる営業方法の店だった。

 女学校のまえで声を掛けたら、あっさりとついてきた。
 蕾と咲の顔立ちが気に入ったようで、手に触れても体に触れても嫌がらないし、脛が見えるほど短くした袴をずらしたり、積極的に胸を押しつけたりしてくる。

 待ち合い茶屋に誘ったら、喜んで足を開きそうだ。
 親が見たら泣くだろうな、と蕾は思った。

 貞淑で美しい薔子をそばで見ているせいか、どれだけ女がしなを作ろうと興味を抱けない。それは咲も同じだ。
 蕾と咲にとって、薔子以外の女はすべて浅ましい雑草である。

「それで、あたしたちにお願いってなあに?」

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