わたしが最愛の薔薇になるまで

続 中編

 学校に呼び出された日の夜遅く。
 私は、思いつめた顔で双子の寝室のまえに立っていた。使用人はすでに休んでいて、暗い廊下には、夜着を身につけた私の他には誰もいない。

 コンコンと扉をノックすると、大きなシャツをざっくりと着た咲が顔を出した。

「薔子さま。こんな遅い時間にどうしたの?」
「二人に話があるの。中に入ってもいいかしら」
「……どうぞ」

 緊張しながら足を踏み入れる。
 眠る支度は終えていたようで、サイドランプ以外の照明は落とされていた。
 カーテンが開け放されて月光がさし込んでいるため、思っていたよりは明るいが、静謐な光は、ざわついた私の心境には合わなかった。

 大型の西洋ベッドに横たわって、革張りのレポートブックを開いていた蕾は、怪訝な顔をした。

「こんな夜更けにどうしたんだ」
「話があるの。……二人とも、まだその寝台で眠っているのね」

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