わたしが最愛の薔薇になるまで
本来であれば口にするのも嫌な話題だ。だが、私は双子の養母である。学生の身分でありながら、放蕩と過ごしているならば、叱らなくてはならない。
意を決した問いかけだったが、咲はぷっと吹きだした。
「みまちがいだよ。カフェーって、女性の給仕が近接してくる酒場でしょう。そりゃあ、僕らもお年頃だもの。繁華街に興味を持っている級友はいるし、昼休みに猥談が出ることもあるけれど、僕も蕾も、そういうところにいる女性には興味がないから」
「ほんとうに?」
「だって、こんなに美しい人が側に居るんだもの。他に目移りなんか出来ないでしょう」
腕を伸ばした咲は、私の黒髪を一房、指にからめて、うっとりと目を細める。
「安心して。僕らは薔子さまを泣かせるような真似はしない」
「嘘を吐かないで」
意を決した問いかけだったが、咲はぷっと吹きだした。
「みまちがいだよ。カフェーって、女性の給仕が近接してくる酒場でしょう。そりゃあ、僕らもお年頃だもの。繁華街に興味を持っている級友はいるし、昼休みに猥談が出ることもあるけれど、僕も蕾も、そういうところにいる女性には興味がないから」
「ほんとうに?」
「だって、こんなに美しい人が側に居るんだもの。他に目移りなんか出来ないでしょう」
腕を伸ばした咲は、私の黒髪を一房、指にからめて、うっとりと目を細める。
「安心して。僕らは薔子さまを泣かせるような真似はしない」
「嘘を吐かないで」