わたしが最愛の薔薇になるまで
 双子がこんな風に悪びれない性格だとは知らなかった。
 二人とも、私の前ではお利口で優しくて聡明で、盛り場に出入りしたり、嘘をついて追求を誤魔化したりする子どもではなかったのに。

(私の育て方が間違っていたのかもしれない)

 そう思うと、胸がずんと重くなる。
 せめて、蕾と咲がこれ以上、道を踏み外さないようにしなくては。

「二人とも反省なさい。学長には、不良の振る舞いを指導して、改心させたとご報告申し上げます。連れていた女学生の親御さんにも、お詫びをしなくてはならないわね。それから――」
「「薔子さま」」

 踵を返した私は、腕を引かれて引き戻される。
 あ、と思ったときには、ベッドに仰向けに転がされていた。

「蕾……咲……なにをするの……」

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