わたしが最愛の薔薇になるまで
「どうして、葉室さまと張り合おうとしたの?」
私の問いかけには、咲が可憐な笑顔で堪えてくれた。
「薔薇の種子ぐらい僕らだって手に入れられる。だから、葉室を後添いの夫として迎えなくてもいいんだよ。僕と蕾で薔子さまを幸せにしてあげるんだから」
「そのために二人で帝大に進み、いずれ政界に食い込んで、垣之内家の影響力を確固たるものにする。あなたが再婚をして、有力者をこの家に入れる必要はない」
「そんなこと、私は望んでいません……!」
恐怖を感じて身じろぎすると、肩を押さえる手に体重がかかった。
ふかふかした寝台に沈んでいく体に抗って、懸命に声を出す。
「再婚は、垣之内のお家のためではありません! あなたたちに、良き伴侶を迎えるためです。私が身を固めれば、二人に良い縁談が持ち込まれると、そう思ったから……!」
「? 縁談など必要ないが」
私の問いかけには、咲が可憐な笑顔で堪えてくれた。
「薔薇の種子ぐらい僕らだって手に入れられる。だから、葉室を後添いの夫として迎えなくてもいいんだよ。僕と蕾で薔子さまを幸せにしてあげるんだから」
「そのために二人で帝大に進み、いずれ政界に食い込んで、垣之内家の影響力を確固たるものにする。あなたが再婚をして、有力者をこの家に入れる必要はない」
「そんなこと、私は望んでいません……!」
恐怖を感じて身じろぎすると、肩を押さえる手に体重がかかった。
ふかふかした寝台に沈んでいく体に抗って、懸命に声を出す。
「再婚は、垣之内のお家のためではありません! あなたたちに、良き伴侶を迎えるためです。私が身を固めれば、二人に良い縁談が持ち込まれると、そう思ったから……!」
「? 縁談など必要ないが」