わたしが最愛の薔薇になるまで
 私は、披露宴の準備にかこつけて、たびたび葉室の屋敷に泊まった。
 不機嫌な蕾と咲に顔を合わせづらかったので、こころよく受け入れてくれた葉室には感謝しかない。食事をともにとったり、何気ない会話を重ねるのは心地よかった。

 入り婿として垣之内家の一員になる彼は、披露宴で、双子に向かって決意を述べたいと申し出た。

 生涯の伴侶として、薔子さんを幸せにするから、安心してほしい。
 新たな父として、至らない部分はあるかもしれないが、努力する。

 優しくも広い心を思わせる内容に、私はとても感動した。

 ――そして、迎えた披露宴当日。

< 37 / 50 >

この作品をシェア

pagetop