Tear Flowers〜永遠の約束〜

「……サルビアは、優しいのね……」

ルクリア先生の白くて細い指が、僕の頬を優しく滑る。僕は先生の手を掴み、首を横に振った。僕は優しくなんかない。今泣いているのは、あなたを失いたくないからだ！そう言いたいけど、涙のせいで言葉にできない。それがもどかしい。

「人のために泣ける、それはとても素晴らしいことなの。いつまでもその心を忘れないで。人を許せる人でいて」

「……はい……先生……」

ルクリア先生の瞳からも涙がこぼれて、僕はルクリア先生の小さな体を抱き締める。ルクリア先生の体は、僕の知らない間に病気に侵されていたみたいで前よりもずっと細くなっていた。

ルクリア先生としたその約束を、僕は決して忘れないように何度も心の中で唱えた。それはルクリア先生との永遠の約束だ。

孤児院を出て、警察学校に入学しても、僕は時間を作ってはルクリア先生に会いに行った。ルクリア先生は仕事が病気でできなくなって、入院することになってしまったけど、ルクリア先生の好きな花を持って何度も足を運んだ。でも、運命には逆らえなかった。