【好き】を言いたい1







「じゃあ後にするよ。」

「ありがと、徹。
でも、私が教室にあとで行くから!」




「いや、教室まで絶対来るなよ?迎えに行くから!」
と、言って、徹君は去っていった。



「‥徹って、
絶対私を教室に近づけたがらないんだよね‥。」

「そりゃそうよ。」

「!?」

「‥(鈍感だなぁ)」


‥やっぱり、
結由みたいに可愛ければ。

自信持って、
【好き】
って伝えられるのにな。



「それで?
どうしたの?」

「‥いや、また今度でいいよー。」

「そう?
あ。もう着席しないと、授業始まっちゃう!」

「はっ、やばい、急ごう!!」



‥バタバタ準備していても。

卑屈な思いが、
ぐるぐる頭の中を回り続ける。







もしも。
もしも、結由みたいに。


可愛くて、
優しくて、
素直だったら。




何か、変わっていたのかな‥。








好きなのに。

好きじゃないみたいな、態度。



愛想尽かされちゃうよ。







「‥和志、好き。」


1人で言うのは、
もう何回も練習したから大丈夫なんだけど‥。



「え?礼華、何か言った?」

「ううん、なんでもない。」



そっと呟いて、
和志に届けばいいのに。なんて。


少女漫画みたいなこと考えても、
現実は変わらないよね‥。





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