【SR】hide and seek
「それで…、
今日明日と月子ちゃんの御両親が仕事先から帰ってくるまで、うちで泊まりたいって言うんだね。」

「そう、
そうなの!」


隆之の言葉に、月子はコクリとその頭を下げた。


「すみません。
勝手な申し出なんですが、頼れる人が麻美ちゃんしかいなくて……」

すまなさそうに、月子はつぶらな瞳を伏せる。

何をしても愛くるしいその姿を横から眺め、麻美は仄かにため息をついた。


「うちは全然構わないよ。
見ての通り、麻美とふたり暮らしだし、部屋もあまっている。
ゆっくりしていくといい。」

隆之はそう言って月子に微笑むと、傍に置いてあったタバコに手を伸ばした。

「でも、
月子ちゃんくらい可愛かったら、彼氏くらいいるんじゃないの?」


手持ち無沙汰にタバコをもてあそびながら、隆之は月子にそう尋ねる。

その言葉を聞いて、更に月子の白い頬が紅く染まった。


「あにきってば、バカだね。
そんなのいるに決まってんじゃない!
それも、スッゴく格好いいんだから。
でも、だからって彼氏ん家にハイお泊まり!ってワケにもいかないでしょ。
月子一人っ子だから、親の目も厳しいし……」


間髪入れずよく動く麻美の口元に目をやり、隆之はプッと小さく笑う。

我ながら、
よくしゃべるうちの妹だと。


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