【SR】hide and seek
薄暗い部屋の中。
額にじっとりと汗を滲ませ、月子はひとり目覚めた。
薄く浮かび上がる自分の両手を見つめ、その感触を思い出す。
夢か現実かーーー
生々しく残る、その温かさ。
振り返った小さな背中を、無理矢理押した自分の手。
鏡を見ているような、まったく同じふたつの瞳が歪む。
落ちていく間も、
ジッとーーー
嫌がるようちゃんの、背中を押したのは、
わたし……?
混乱する記憶の中で、月子は小さくうずくまる。
何が本当なのかわからなくなっていく、ぼやけた記憶。
声を殺し、その瞳に涙を浮かべた。