さまよう
亮一のことは慕っている。そう、慕っているのだ。それはつまり友人のことを好きと思う感情で間違いはないのだろうか?
両親のことも慕っていると言えるのだろうか。しかし両親への気持ちと亮一への気持ちは別物のような気もしてくる。
由美のことは気になっているがこれが好きということなのだろうか、それともこれが恋というものなのだろうか。
「聞きたいことが何なのかを知るためには、自分たちは何をどう思っているのかをまず理解する必要がありそうだな」
困ったらまた連絡してこい。そう言って亮一との通話を切った。
「翔くんは僕のこと好き?」
翼の呟きにすぐ返事を返すことが出来なかった。小説や漫画の中ではよく出てくる言葉だ。
君が好きだ、あなたのことを愛している、大好きな友達。
ストーリー上必要になってくるセリフも多いだろう。
もちろん意味は知っている。気に入る、惹かれる、嫌いの反対が好き。嫌じゃないということは、好きということになるのだろうか?
「嫌いじゃないなら好きってことだよね」