さまよう
「うまい!」
これ、二本じゃ足りないよ、でもたこ焼きもお好み焼きも焼きそばも食べたい!
焼き鳥を一口ほおばっただけで、翼は次に食べるものをもう物色している。
きょろきょろと見回していると奥のほうにある屋台で人だかりができているのを見つけた。
「なんかみんな楽しそうだよ?あそこに何があるんだろう」
早く食べて向こうに行こうと翼にせかされ、焼き鳥とビールを飲み干した二人は気になっていた屋台へ向かう。
「すごーい!ボクもー!」
「わたしオレンジジュース!」
子供たちの声も聞こえてきた。その屋台には『カクテル ソフトドリンク』と書いてある。
ピッチャーに入れられたオレンジジュースを一人の男性がみんなの見えるところに持ってくる。
もう一人の男性はその近くでプラスチックのコップを持っていた。
ジュースを用意した男性が右手をかざすと、中に入っていたオレンジジュースがシュルシュルと外に出てきた。
コップの上で等間隔にジュースを分割させると、コップを持っていた男性は左手の手のひらをそれにかざす。
一瞬にして凍ったジュースは重力に任せて真下にあったコップの中へと落ちていく。
子供たちから歓声が上がり、大人も凄いわね~と感嘆の声を漏らす。
オレンジジュースの氷が入ったコップに追加でジュースを注ぎ、氷が溶けても味が薄くならないオレンジジュースの出来上がり。