さまよう
この祭り会場では、特殊な能力を持った人たちが多数活躍していた。
すれ違う人や、遠巻きから二人を見る人達も怯えたり叫んだりしなかったのは特殊能力に触れ合っている人が多かったからだったのだ。
そして二人も特殊能力に魅了されていた。誰かに見入るというのは、悪い意味合いのものだけではなく、単純に凄い、もっと見たいという気持ちもあったのだと知った。
「翔くん、僕もあれ目の前で見たい。カクテルもあるって」
二人はカシスオレンジを頼み、それが混ざり合い凍り、コップに収まるまでの一部始終を楽しんだ。
コップを受け取った翼はもう一回見たい、もう一個買おうよと言い出した。
「待て待て、せめてこれを飲み切ってからにしろ。たこ焼きとかも食べたいんだろ?」
そんなやり取りを見ていた、物を凍らせる能力を持つ男性は高らかに笑い声をあげ、そんなに興味があるならいいものを見せてやるよと誘いを持ち掛けてきた。
連絡先を交換して翌週の休日に指定された公園へ行くこととなる。