さまよう
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それからしばらくして二人は二十五歳の誕生日を迎えるところだった。
一人で行動することには未だ慣れておらず、力のコントロール練習をすることもあり病院にはまだ定期的に通っているが、その周期はかなり広くなっている。
誕生日前日の夜、亮一と奥さん、麻未と由美、今ではプロとして活動している悟、晃、あかりの三人が双子の実家に来ていた。
カウントダウンが始まり、クラッカーが鳴らされる。
すでに終わりかけの食事をつまみにしながら乾杯をした。
麻未は退院して病院の近くで生活している。由美と出かけることも増えて、今では自然と笑顔を見せてくれるようになった。
由美も心を取り戻したいとは言わなくなってきた。
麻未と由美は幼少の頃から知っているのでお互いを頼り頼られる関係性も培っていけそうだ。
亮一は双子に人生の転機というきっかけをくれた大恩人だ。まだまだお礼もし足りない。
両親は誰もが怯える双子を見ても一切動揺せず愛し続けてくれている。
普段は何気ない会話しかしないが、その何気ない会話をし続けるほどの愛がなければもっと二人の人生は荒んでいただろう。