七夕の夜、二人で見上げた星空

 遠巻きに私を見つめる視線が嫌でも分かってしまう。


 クラスメイトはみんな冬服、朝から憂鬱な気分だけど誰も何も言ってこない。

 唯一、早瀬さんだけが「誰かと思ったら、宇佐さんじゃない。驚いてしまったわ」と言ってくれた。

 ほめてくれたのか、なんだかよく分からないリアクションだけど早瀬さんらしい。


 昼休み、瀬戸くんが教室に姿を見せた時の反応が気になる。

 今日は来てくれるかな、ちょっとソワソワしてきた。


 昼休みになると、クラスの女の子が私に話かけてきた。

 ビックリしたけど、あまりにも変貌した私に興味を持ってくれたみたい。


 隣に座る子から「初めて顔をよく見たけど、美人さんだったのね」と言われてしまう。

 美容師さんにお任せして不安だったけど、メイクと合わせて成功だった。

 その後もいろんな子と少し話をしてたけど、瀬戸くんは姿を見せる気配はない。


 昼休みが終わって、放課後になっても瀬戸くんは教室に来なかった。

 ちょっと残念だけど、明日また同じ姿で登校して見てもらえばいい。

 当たり前のことで気づいてなかったけど、いつも頭の中は瀬戸くんのことでいっぱいだった。


 彼のことが大好きで、一緒の時間を過ごしたい。

 無謀だけど、告白して彼氏になってくれたら、うれしいなと考えたりもしてる。

 明日になれば瀬戸くんとまた会える、なんて気軽に思っていたけど……



 翌日の朝、廊下の掲示板に貼られた紙を見て私は驚愕した。




『瀬戸 竜也を二週間の停学にする』




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