七夕の夜、二人で見上げた星空
「うわっ、めんどくさい奴がきた! みんな解散だし~!」
私の周りを取り囲んでいたカーストの子たちが、渋い顔をして離れていく。
何事かと思い、振り返って声が聞こえた方向を見つめる。
艶やかな長い黒髪、細身のスタイルで制服がよく似合う美人さんが立っていた。
メガネをかけた凛々しい目鼻立ちで、背筋をただし、威風堂々とスクールカーストに立ち向かう。
このクラスの学級委員長、早瀬 美咲(はやせ みさき)さんが言ってきた。
「ごゆっくりどうぞ……」
スカートの裾をフワリと翻し、私に背を向けて早瀬さんは立ち去っていく。
「なにが、ごゆっくりなんだろう……」
あまり、周囲の女の子と仲良く接してないのに、なぜかすごく人気がある彼女。
女子からの人望があって、たくさんの男子生徒から告白される存在。
外見が地味で、人付き合いが下手なネガティブ女子の私と正反対だから憧れてしまう。
この日は、早瀬さんの助けもあって、嫌な思いをしないですんだ。
翌日、大きな事件が起きると知らずに、私は胸をなで下ろしてる……