夜を照らす月影のように#1
「……そうなんだ……」

リオンさんは、まだ戸惑った表情で僕を見る。

ごめんね、リオンさん……敬語を使うのが、僕の癖なんだ……。

「そうだ!だったら!!」

リオンさんは何かを考えた後、僕の腕を掴むと呪文を唱えた。

「……っ!?」

次の瞬間、体がふわりと浮く。空を飛んでいる、そう気づくまで数秒かかった。

ん?どういうこと……?理解が、追いつかないんだけど……。

「もしかして、魔法……初めて見る?」

「魔法!?」

僕が驚くと、リオンさんは首を傾げた。僕は「ごめんなさい……」と謝る。

「良いよ!お母さんとお父さんの所に行こう!」

「え?ちょっと……!?」

リオンさんが飛び始めた方向に向かおうとした瞬間、下から「こら!リオン!」とリオンさんを呼ぶ声がした。

「リオンさん、誰かが呼んでますよ?」

「……お父さん……」

僕の言葉に、リオンさんは下を見る。そこには、リオンさんと同じ白髪の男性がいた。

「リオン、降りて来なさい」

その言葉を聞いたリオンは、ゆっくりと地面に着地する。僕もリオンの隣に着地した。

「……お前、学校で何て習ったんだ?」

リオンさんのお父さんの言葉に、リオンさんは俯く。
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