夜を照らす月影のように#1
「……魔法がコントロールが出来るようになるまでは、他人には魔法は使わない……」

「……そうだ。お前……その子を怪我させる所だったんだよ?リオン、まだその魔法は完璧じゃないだろうし……そもそも、そんな魔法……もう習うの?」

「……あの……」

僕は、リオンさんのお父さんに話しかけた。リオンさんのお父さんは「どうしたの?」と僕に微笑む。

「……僕、実はこの森に来る前の記憶が無くて……」

僕が本当のことを話すと、リオンさんのお父さんは顎に手を乗せた。

「分からないんです。ここがどこなのか、どうしてここにいるのか……」

「そうだった……お父さんなら、何か分かるかなって思って……」

「……」

リオンさんのお父さんは、じっと僕を見つめるとリオンさんの方を向く。

「リオンは、先に家に帰ってなさい。この子と、2人きりで話したい……」

「……分かった!」

リオンさんは、頷くと走り出した。それを見届けた後、リオンさんのお父さんは僕を見つめる。

「……君の名前は?」

「……ノワール……です」

僕が答えると、リオンさんのお父さんは「違う」と僕を見た。

「君の、本当の名前だよ」

「え……?」

「君は、もともとはこの世界の住民じゃないんだろ?魔法で、君の記憶を探らせてもらった」
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