夜を照らす月影のように#1
怪物は、座り込んだリオンにゆっくりと近づく。

「……自分の命なんか、どうでもいい」

僕はそう呟くと、魔法で刀を作り出すと怪物に斬りかかった。怪物は僕の攻撃を避けると、僕に何かを投げてくる。僕はそれを避けて、リオンの目の前に着地すると後ろを向いた。

怪物が投げた何かが当たった場所は、溶けて消えている。

「……ノワール……」

「リオン……ゆっくり休んでて」

僕がそう言ってリオンと目を合わせると、リオンは安心したように微笑んで目を閉じた。多分、眠りに落ちたんだろう。

「そう言ったのは良いけど……どうしたものか……」

僕は日本語でそう呟くと、リオンの周りに攻撃が当たらないように魔法で防壁を張る。

しばらく怪物を見つめていると、どこかで山火事が起こったみたいで近くにあった木に燃え移ると、すぐに火は僕らを取り囲んだ。次の瞬間、怪物は苦しみ出す。

「…………そうか……さっきの雷鳴は……」

僕はどんよりとした雲を見上げると、この小説のワンシーンを思い出してそう呟いた。

確か、主人公が初めて少年に出会った時……こんな感じの空で、近くに雷が落ちたんだっけ。それで、山火事になって……。

「早く決着を付けないとな」
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