私の婚約者には好きな人がいる
女子大学生になり、学校はずっとエスカレーター式とはいえ、大学ともなると外部からの生徒が多く入学してきて、ようやく自分が箱入り娘なのかも?と思い始めていた。
そして、恋をする機会もないまま、この年齢まで来てしまったと気づいた頃には遅く、親が決めた相手とお見合いが決まっていた。
「憂鬱だわ」
「旦那様が選んだなら、きっと間違いない方ですよ」
「商売と結婚相手を選ぶのは違うもの」
いつもなら、そうね、と済ますところを我慢できずに反論した。
運転手が困っていたので、それ以上は言わずに黙って窓の外を眺めていた。
お見合い場所はお父様が懇意にしている料亭があり、そちらを使うことになっていた。
「傘はよろしいですか」
「降っていないから、大丈夫よ」
面白くなくて、意地を張ってそう言った。
車から降りて、足場の悪い砂利の駐車場を出たところで雨がポツポツと降りだして後悔した。
そして、恋をする機会もないまま、この年齢まで来てしまったと気づいた頃には遅く、親が決めた相手とお見合いが決まっていた。
「憂鬱だわ」
「旦那様が選んだなら、きっと間違いない方ですよ」
「商売と結婚相手を選ぶのは違うもの」
いつもなら、そうね、と済ますところを我慢できずに反論した。
運転手が困っていたので、それ以上は言わずに黙って窓の外を眺めていた。
お見合い場所はお父様が懇意にしている料亭があり、そちらを使うことになっていた。
「傘はよろしいですか」
「降っていないから、大丈夫よ」
面白くなくて、意地を張ってそう言った。
車から降りて、足場の悪い砂利の駐車場を出たところで雨がポツポツと降りだして後悔した。