私の婚約者には好きな人がいる
こんな―――隣に並んでいるのも申し訳なく思うくらい綺麗な方が私のお見合い相手?
うまく息ができない。
お父様ったら!!
あまりにも自分が身の程しらずな上に図々しい気がしてお見合いの間中、うつむいたまま、目を合わすことができなかった。
だから、顔はあまり見ることができなかった。
お見合いの席が終わり、帰る時間になってからのことだった。
次はいつ会えるのだろうと惟月さんの去っていく後ろ姿を名残惜し気に見送っている時、私は気づいた。
これが初恋。
私の遅い初恋だった―――
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