私の婚約者には好きな人がいる
がっくり肩を落とした。

「気にしなくていいわよ。無視されずに話しかけてくれるなら、まだいい方よ」

以前からいる二人は夕飯のサヤエンドウのスジをとりながら、ため息をついた。

「恭士さんは気難しいから、夏乃子ちゃんも気を付けてね」

「はあ」

気難しいのは見て、すぐにわかった。
それにしても、どう扱えばいいんだろう。
奥様はお優しそうだけど、問題は恭士さんだ。
しょっぱなから、キスシーンはさすがにうら若き乙女としてはこたえるわよ!
しかも、ちょっとくらい悪びれるか、申し訳なさそうにしたらどうなのよっー!!

「顔が赤いけど、夏乃子ちゃん、大丈夫?」

「だっ、大丈夫です!」

平常心!と自分に言い聞かせ、気持ちを落ち着かせた。
春キャベツを使ったロールキャベツのクリーム煮を完成させ、サヤエンドウと卵の炒め物、スモークサーモンサラダとバケットにワインを夕食に用意した。
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