私の婚約者には好きな人がいる
朝食が終わると、恭士さんは出勤し、奥様はお茶のお稽古があると言い、祥枝さんに着付けを手伝ってもらい着物姿で出かけて行った。
誰もいなくなると、三人で掃除を始めた。
広い床はルンバがやってくれるので、細かい部分とお風呂やトイレ、玄関の掃除を済ませた。

「お昼は奥様がいらないと言っていたから、昨日の残り物でいいですか？」

私が豊子さんと祥枝さんに言うと、二人は頷いた。
二人も奥様が昨日、食事がいらないことを察していたようだった。
やっぱり頻繁にあることなのかもしれない。
けれど、それをどうして私に言わなかったのだろう。
それに朝、サラダの皿をぶつけられたことを二人ともなにも触れない。
奥様への文句もだ。
私はまだこの家のことを何も知らない。
知らないほうがいいのかもしれないけど。
電子レンジで温め、皿にのせて昨日の夕食の残りを頂いた。
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