私の婚約者には好きな人がいる
「当り前です!」

そんなの出せるわけがない。
だいたい、こんなお屋敷に住んでいて、食べるわけがないんだから。

「食べてみたいな」

「何言っているんですか。野菜嫌いなのに」

「嫌いではない。苦手なだけだ」

「一緒でしょう!?」

どんな見栄の張り方だよ!
別に好き嫌いくらい弱みでもなんでもないのに。

「まあ、野菜ジュースは正直、助かった」

「あー、そこは素直に認めるんですね……」

食欲のない朝でも野菜ジュースだけは飲む。
なので、最近はいろいろな野菜ジュースを作って出している。
食べ終わった皿を片付け、くつろぐ恭士さんに言った。

「熱いお茶をいれますね」

「ああ」

お茶を持っていくと、疲れているのか、眠そうにしていた。
なんだか、それが可愛らしく見えた。
私よりずっと年上でしっかりしているのに。
熱いお茶を飲みながら、恭士さんはからかうように言った。
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