私の婚約者には好きな人がいる
お休みの日
「なんだ。夏乃子は休みか」
「はい」
ちょうど家から出たばかりの恭士さんと一緒になった。
一週間に二回、お休みを頂いていて、そういう時は他の二人が朝早くにきたり、遅くまで残っている。
「朝、いないと思っていた。どこかでかけるのか?」
「銀行に行くつもりです。お給料を家に仕送りしているので」
妹と弟が高校を卒業するまでは送るつもりだった。
なんたって、大家族だから、両親だけの稼ぎではキツイ。
賑やかなのはいいけど、進学する年齢だから、お金がかかる。
「偉いな。銀行まで送ってやる」
「いっ、いいです!」
「さっさと乗れ」
もたもたしてると、イラッとされ、渋々、車に乗った。
高そうな車だなあ。
なんの車かわからないけど。
パーカーにジーンズで乗るような車じゃないよね。
物凄く自分が似合ってなくて、申し訳ない気持ちになった。