私の婚約者には好きな人がいる
財布の紐が緩んでしまう。

「夏乃子」

「ん?あれ!?恭士さん、会社に遅刻しますよ」

「休んだ。車に乗れ」

「な、なんでですか」

「有給休暇がたまっていたからな」

そんな理由?

「それって、ずる休みじゃないですか?」

「誰がずる休みだ!」

いいのかなぁと思いつつ、車に乗った。

「どこに行くんですか?」

「まずは服を買う」

「恭士さんの?」

「は?俺の服なんか買って何が楽しいんだ?お前の服に決まっている」

「私の!?いらないです!そんな贅沢する余裕なんかないですから」

「買ってやると言っているんだ」

どこか楽しそうに恭士さんは言いながら、車を走らせた。

「なんでっ!?」

「面白いからに決まっているだろう」

「は、はあ?面白い?」

お金持ちが考えることは本当にわからない。


◇ ◇ ◇ ◇ ◇


「よくお似合いですよ」

「まあまあだな」
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