私の婚約者には好きな人がいる
そこは嘘でいいから、褒めてよ!?
自分が連れてきたんだからね?と思いながら、着せ替え人形のように服を試着していた。
金額は私がいつも買う服より、0が1から2個は多く、最初の服で見るのをやめた。
値札を見るのが、怖すぎる。
春物のコートとワンピース、ジャケットにレースのブラウスと紺のプリーツスカート、パンプス。
いかにもお嬢様というような服が並び、苦笑した。
そういう店だから仕方ないけど。

「あの、買ってもらうのにケチつけるのもあれなんですが、着ていくところがないので」

いいです、と言おうとしたのを遮られる。

「今から行く」

ど、どこへ?

「そんなものでいい。行くぞ」

薄いピンクのプリーツスカートに白のブラウスとベージュのリボンのついたジャケットを着せられ、パンプスをはいた。
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