私の婚約者には好きな人がいる
小さな声だったから、私には聞こえてないと思っていたのか、それ以上は何も言わなかった。
私が知らない事情が色々、あるような気がしたけれど、そこまで踏み込んで聞いてはいけないような気がしたのと、恭士さんも聞いて欲しくはないだろうと察して、あえて言及はしなかった。
そして、デザートに温かいリンゴのコンポートに冷たい紅茶のアイスクリームが添えられたものがくると、すっかり忘れてしまった。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
「楽しかったか?」
高辻の家の前に車をとめ、恭士さんが聞いてきた。
「はい。楽しかったです」
「それはよかった」
食事の後は普段着を買ってくれた。
貧乏臭い服装をするなとか、高辻の家政婦なんだからとか、小言を聞かされながらね。
普段着といっても、私がいつも着る服の倍の値段だったけど。
きっと妹さんの代わりだったんだと思う。
私が知らない事情が色々、あるような気がしたけれど、そこまで踏み込んで聞いてはいけないような気がしたのと、恭士さんも聞いて欲しくはないだろうと察して、あえて言及はしなかった。
そして、デザートに温かいリンゴのコンポートに冷たい紅茶のアイスクリームが添えられたものがくると、すっかり忘れてしまった。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
「楽しかったか?」
高辻の家の前に車をとめ、恭士さんが聞いてきた。
「はい。楽しかったです」
「それはよかった」
食事の後は普段着を買ってくれた。
貧乏臭い服装をするなとか、高辻の家政婦なんだからとか、小言を聞かされながらね。
普段着といっても、私がいつも着る服の倍の値段だったけど。
きっと妹さんの代わりだったんだと思う。