私の婚約者には好きな人がいる
私はキッチンに戻り、夕食の支度をしようとしていると、豊子さんがすでに準備を始めていた。

「あれ？私が夕食を作るはずじゃ」

「奥様が夏乃子さんが戻ってきたら、サンルームに来るようにいってましたよ」

「そうなんですか」

慌てて、サンルームに行くと奥様がにこにこと私に微笑みかけて言った。

「夏乃子さん、そこで待機して下さる？足りないものがあったら、お願いしたいから」

「はい」

入り口近くに立たされると、サンルーム全体が見渡せた。
恭士さんは私を見て、なぜか険しい顔をしていた。

「あら。お若い家政婦さんですのね」

「わたくしの家も高辻さんの勧めで宮竹の家政婦を使っておりますの」

「青いエプロンだから、すぐに家政婦だとわかるわね」

私に話しかけているわけではなさそうだった。

「お茶をいれてくださる？」

「はい」

お茶のおかわりを作り、カップに注いでいく。
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