私の婚約者には好きな人がいる
「宮竹さんの家に呼ばれて注意を受けていました。高辻の息子さんに近づきすぎだって」

「なるほど」

「だから、恭士さんもこれからはなるべく近寄らないようにしてください。奥様が心配して、宮竹に連絡したんです」

「近寄るか、近寄らないかは俺が決める」

車をとめると、恭士さんが覆いかぶさり、獲物を喰らうようなキスをしてきた。

「やっ…めっ…」

前よりも深く中に舌が入り込み、貪り尽くされるような激しいキスに息を乱し、もがいても、なかなか離してはくれなかった。
必死に体を押し、突き飛ばした。

「はっ…あ…いい加減にしてください」

なんて、勝手なんだろう。
こっちは路頭に迷うかもしれないって思っているのに。

「私は恭士さんのこと、なんとも思ってないんです!だから、こういうことはもうしないでください」

泣きそうになりながら、言うと恭士さんは暗い顔をした。
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