私の婚約者には好きな人がいる
張り合おうなんて思うこと自体が図々しいというものだ。
皿やグラスを運び、飲み物を持っていく。

「家政婦さん。こっちにシャンパンをちょうだい」

「はい」

シャンパングラスをいくつか持って、お嬢様達の所に持って行った。
ひそひそと私を見て、何か耳打ちしている。
持っていくと、お嬢様達はシャンパンを手にすると、恭士さんをちらりと見た。
恭士さんは他の人達に囲まれて、話しているところだった。

「そちらじゃないわ。こっちに持ってきて」

離れた場所にあるプールにまで、ご丁寧にライトアップされており、キャンドルがプールサイドに置かれ、テーブルと椅子まできちんと用意されてある。
雰囲気があり、ゆったりとすごせるプール側にお嬢様達は集まって、話し込んでいた。
全員が友達のようで、学生時代の話などをして楽しんでいた。
シャンパングラスをテーブルに置くと、刺すような視線を感じた。
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