私の婚約者には好きな人がいる
眠気が襲い眠りに落ちる時、低い声で恭士さんが何かを言っていた。

「二度とこんな真似ができないように思い知らせてやる」

そんなことしないで―――そう言いたいのに目を開けることはできなかった。


◇　◇　◇　◇　◇


冷たい水のプールに落ちたせいか、熱を出し、しばらく仕事はお休みすることになった。

「ごめんなさいね……。夏乃子さん」

奥様は休んだ分のお給料は支払うと言ってくれた。
ガーデンパーティーを開いた主催者として、責任を感じているようだった。

「あんな恐ろしいことをするなんて」

自分の選んだお嬢様達は間違いないと思っていた奥様にとって、ショックだったらしく、元気がないと豊子(とよこ)さんが言っていた。
「精神的に不安定な奥様ですけど、生粋(きっすい)のお嬢様育ちですからね。ああいった乱暴な真似は苦手な方なんですよ」
お粥を運んできてくれた豊子さんがテーブルに置いてくれた。
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