私の婚約者には好きな人がいる
気持ち
恭士さんは仕事が落ち着いたのか、最近はきちんと夕食を食べることができる時間に帰ってくるようになった。
今日の夕食はクレソンを添えた厚切りベーコンのじゃがバターと牛ステーキ、野菜を細かく切って煮込んだスープとバケット、ワイン、デザートにフルーツゼリーを冷やしてある。
「来週、海外出張に行ってくる」
「どこの国に行くんですか?」
「イギリスだ」
「イギリスに出張ですかー」
いいなあって仕事だから、そうでもないか。
「ああ。一週間で帰る。お土産はなにがいい?」
「お土産、買ってきてくれるんですか?」
「そんなに驚かなくてもいいだろう」
「えーと、ハロッズのテディベアが欲しいです!すっごくかわいい顔をしているんですよ」
「ぬいぐるみか」
恭士さんががっくりと肩を落とした。
「だ、だめでした?」
「いや、いい。他は?香水とかジュエリーとか服とかなにか欲しい物があるだろ?」